空気の乾燥

空気が乾燥すると、目の表面から涙が蒸発しやすくなります。

特に、秋から冬にかけて湿度が低下するため、ドライアイの症状が出やすくなります。

さらに、エアコンを使用する部屋では湿度がさらに下がるため、注意が必要です。

まばたきが少ない、または不完全

人は通常、無意識のうちに3秒に1回まばたきをしています。

しかし、パソコンやスマートフォンに集中していると、まばたきの回数が減少します。

その結果、涙の蒸発が進み、涙の分泌量も減少します。

また、まばたきが不完全な場合、特に目の下の部分が乾燥しやすくなります。

これは、睡眠中に目が少し開いた状態でいる人や、コンタクトレンズを長時間装着する人に多いです。

コンタクトレンズ

長時間コンタクトレンズを装着すると、涙が角膜に届きにくくなり、目が乾燥します。

また、まばたきが不完全だったり、レンズに汚れや傷がある場合も、ドライアイの原因となることがあります。

マイボーム腺の詰まり

マイボーム腺は、涙の蒸発を防ぐために必要な油分を分泌する場所です。

ここが詰まると、涙が蒸発しやすくなり、ドライアイが進行します。

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎が原因でドライアイになることがあります。

逆に、ドライアイが原因でアレルギー性結膜炎が治りにくくなるケースもあります。

シェーグレン症候群

中年の女性に多く見られる自己免疫疾患で、重度のドライアイが発生しやすいです。

口や鼻の乾燥、関節痛などを伴うこともあります。

角膜・結膜を損傷

涙は、目の表面を保護し、外部からの異物や刺激から守る役割があります。ドライアイが進行すると、この保護機能が低下し、角膜や結膜が傷つきやすくなります。

傷がつくと、細菌が侵入しやすくなり、角膜炎や結膜炎、さらには感染症のリスクも高まります。

目の機能そのものに影響が出ることもあるため、ドライアイを軽く考えてはいけません。

実用視力の低下

実用視力とは、日常生活での「見え方」を指します。

視力検査では一時的な視力を測定しますが、実用視力は、時間帯や環境に左右されず、持続的な見え方に影響します。

ドライアイが原因でこの実用視力が低下すると、生活の質が大きく損なわれます。

特に最近増えているのが、「BUT短縮型」というタイプのドライアイです。涙の量が十分であっても、涙がすぐに蒸発してしまうこのタイプは、パソコン作業が多い人やコンタクトレンズを装着する人に多く見られます。

以前は女性や高齢者に多かったドライアイですが、この「BUT短縮型」は若年層にも広がっており、男女を問わず増加傾向にあります。

自律神経のバランスが乱れる

ドライアイが進行すると、意外なことに精神的な影響を受けることもあります。

目の痛みや不快感が持続すると、ストレスが蓄積し、自律神経のバランスが乱れやすくなります。

その結果、頭痛や肩こり、集中力の低下といった症状が現れます。

これらの不調が続くと、仕事や日常生活の質にも悪影響を及ぼし、精神的な負担が増してしまいます。

シルマー試験

涙の量を調べる検査です。

専用の細い紙（涙紙）を目の涙点部分に挟み、目を閉じた状態で5分間、涙がどれくらい染み込むかを測定します。

これにより、涙の分泌量が分かります。

涙液層破壊時間（BUT：BreakUp Time）検査

涙の層がどのくらいの時間で崩れるかを調べる検査です。

まばたきをせずに目を開けたままの状態で、涙の持続時間を細隙灯顕微鏡という装置を使って観察・測定します。

涙の蒸発速度を確認するための重要な検査です。

生体染色検査

目の表面に傷や異常がないかを確認するための検査です。

フルオレセインという黄色い染色液を目に点眼し、スリットランプという顕微鏡を使って角膜や結膜の状態を調べます。

傷がある部分は染色液で染まり、異常が視覚的に確認できます。

点眼治療

ドライアイの治療には、涙を補充する点眼薬や、涙の水分や粘液の分泌を促進する点眼薬を使用します。

これにより、涙の量と質を改善します。

点眼薬にはさまざまな種類があり、症状に応じて使い分けたり、併用したりします。

涙点プラグ挿入

まぶたの内側にある「涙点」と呼ばれる涙の排出口に小さなプラグを挿入し、涙の排出を防ぐ治療法です。

これにより、目の表面に涙をためることで乾燥を防ぎます。

特に水分が不足しているタイプのドライアイや、シェーグレン症候群に伴うドライアイに効果的です。

点眼麻酔を使用するため痛みはほとんどありません。

涙点は両目に4つありますが、どこにプラグを挿入するかは症状によって異なります。

温罨法

マイボーム腺の機能が低下し、目の表面に油分が不足している場合、温罨法が有効です。

目を温めることでマイボーム腺から油が分泌され、涙が蒸発しにくくなります。

市販の温めシートやカイロで目を数分間温める方法で、1日2回行います。

濡れタオルは冷めるのが早いため、あまりおすすめしません。

まぶたの洗浄（リッドハイジーン）

マイボーム腺の機能改善には、まぶたの縁を清潔に保つことが重要です。

専用の洗浄液を使って、まぶたを優しく洗浄します。

これにより、油分の分泌が促進されます。

1日2回の洗浄が理想的です。

IPL（自由診療）

IPL（Intense Pulse Light）は、マイボーム腺機能不全やドライアイの治療に効果的な最新の治療法です。

ルミナス社のM22IPLシステムを使用し、マイボーム腺からの油分泌を促したり、まぶたの炎症を抑えたりすることで、涙の安定を図ります。

従来の点眼治療で効果が得られにくい方に有効で、症状の改善が期待できます。

パソコン作業時はメガネを使用

コンタクトレンズよりもメガネを装着することで、目の乾燥を防ぎやすくなります。

定期的に休憩を取る

長時間のパソコン作業は避け、定期的に休憩を取りましょう。

また、意識的にまばたきを増やすことも重要です。

スマートフォンの使用時間を制限する

スマートフォンを長時間使い続けると、ドライアイを悪化させる可能性があります。

使用時間には注意しましょう。

エアコンの風向きを調整する

エアコンの風が直接目に当たらないように、風向きを調整してください。

湿度を保つ

加湿器や濡れタオルを使って、部屋の湿度を適切に保つことが目の乾燥を防ぐ効果的な対策です。